PINTSCOPE(ピントスコープ) 心に一本の映画があれば PINTSCOPE(ピントスコープ) 心に一本の映画があれば

ご当地ミニシアターさんぽ 名古屋編 コース③

名古屋のレトロ可愛い映画館巡り→大盛り喫茶メニューに舌鼓!
【名古屋シネマテーク/JAZZ&COFFEE YURI】

ご当地ミニシアターさんぽ
気になっていたミニシアターを目指し、旅してみるのはいかがでしょう? 世界中のバラエティ豊かな映画を、独自に厳選して上映しているミニシアター。そんな日本各地にある個性豊かな劇場で映画を味わった後で、合わせてご当地グルメも味わえる、おすすめさんぽコースを紹介します。今回は、名古屋編! 全3回に分けてお届けします。
コース①コース②はこちら)
ナビゲーター
編集者
川口ミリ
Milli Kawaguchi
編集者、ライター。映画誌、ライフスタイル誌の編集部を経て、2016年からフリー。2018年からPINTSCOPEに参加。次に名古屋に行くときは、センチュリーシネマ、大須シネマ、伏見ミリオン座といった新しめのミニシアターにも行ってみたい!

パリじゃないよ 名古屋シネマテーク

3日目はお昼過ぎから、名演小劇場と同じでこれまで行ったことがなかった〈名古屋シネマテーク〉へ。

この映画館があるのは、さまざまなカルチャースポットがひしめき合う今池エリアの、とりわけ渋い雑居ビル・スタービル。ちなみにこのビル、大大大という居酒屋も入っていて、夜になると店名の特大ネオンサインが外壁に光るのがかなりイケてます。

なんともディープな佇まい。大阪の味園ビルや三ツ寺会館のように、「よし入るぞ!」というテンションが必要なタイプのビルです。赤れんが風の壁が印象的な階段を2階まで上ると、ありました。

1982年、「観たい映画を自らの手で上映」することを目指して設立。自主映画上映集団・ナゴヤシネアストを中心に、100名以上の資金協力を得たそうです。名演小劇場といい、今でいうクラファンのようなかたちで、市民が協力して作り上げた映画館が名古屋には多いんですね。

館名はシネマテーク・フランセーズに由来していると思われます。パリにある、映画遺産の保存、修復、配給を目的とした文化施設です。名古屋シネマテークも同様に利潤追求を第一の目的にはしていないそうで、ぴったりの館名なのです。

この日は残念ながら都合の合う上映回がなかったので、映画鑑賞は断念し、本とグッズのみ購入。「名古屋シネマテーク叢書」というオリジナル小冊子シリーズの、鈴木清順監督の特集号と、木村威夫さんの特集号。それに、名古屋シネマテークの缶バッジです。

缶バッジは、近所の古書店・シマウマ書房、そして東山公園駅近くの書店・ON READINGとのコラボアイテムだそう。せっかくなので、〈シマウマ書房〉にも立ち寄ってみます。

店内は、1階と2階が吹き抜けで繋がった、開放感のある空間に本がずらりと並び、いわば“本のワンダーランド”という感じ。値段もわりとお手頃。伊丹十三監督と、精神分析学者の佐々木孝次さんの共著をお持ち帰りしました。

そろそろ夕方。旅の締めくくりに何を食べたいかといえば、〈JAZZ&COFFEE YURI〉のチキンライス! 1966年創業のジャズ喫茶で、久屋大通沿いの、名古屋のランドマーク・テレビ塔の近くにあります。目印は、ワニの看板。

余談ですが、これまたパリに、クロコディスク(Crocodisc)といういい感じのレコード屋がありまして。2020年に日本公開の映画『ショック・ドゥ・フューチャー』(2019)でも言及されていた有名店なんですが、こちらも店名に基づきワニがアイコン。ワニの店に狂いなし!というジンクスが、私の中で形成されつつあります(笑)。

夕方早めという、客足がちょうど谷間の時間帯。私が店に入ったとき、すでに一人客が2組いて、若い男性が食事を、若い女性が本を片手にコーヒーを嗜んでいました。いつも抜群の音響でジャズがかかっているので、一人でも入りやすいのです。

音楽に耳を傾けていると、ついにチキンライスがやってきました。これ、これ。ヘルシー志向なんてなんのその、米の一粒一粒がバターとケチャップをまとい、つやつやと輝いている。旨味たっぷりで、脳天を撃ち抜かれる味です。アイスコーヒーのスッキリした苦味が、また合うんだなぁ。

ただ……、米の量が多い! 毎回チキンライスが目の前に出されるたび、「そうだ、想像の2倍の量なんだった! また『少なめで』ってお願いするの忘れた……」と反省。でも結局毎回言い忘れては、おいしいので、お腹をパンパンにして食べきってしまうのです。

人の気前がよく、レトロ可愛い映画館が残る街・名古屋。

夕暮れが目に染みた頃、東京に帰るべく、名古屋駅へと向かう私なのでした。

今回のさんぽコース

COURSE 3
名古屋シネマテーク
愛知県名古屋市千種区今池1-6-13 今池スタービル2F
(地下鉄 東山線「今池駅」10番出口→今池ガスビル。
地下鉄 桜通線「今池駅」9番出口→UFJ銀行すぐ南)
↓(徒歩6分)
シマウマ書房
愛知県名古屋市千種区今池5-14-3
(地下鉄「今池駅」7番・8番・4番出口から、徒歩4~5分。イオン今池店のすぐ東側、コインパーキングの隣にある黒い建物)
↓(地下鉄 桜通線に乗って17分)
JAZZ&COFFEE YURI
愛知県名古屋市東区東桜1-10-40
(地下鉄「久屋大通駅」徒歩3分)
ご当地ミニシアターさんぽ 名古屋編
BACK NUMBER
INFORMATION
名古屋シネマテーク
住所:愛知県名古屋市千種区今池1-6-13
今池スタービル2F
TEL:052-733-3959
公式サイト: http://cineaste.jp
PROFILE
編集者
川口ミリ
Milli Kawaguchi
編集者、ライター。映画誌、ライフスタイル誌の編集部を経て、2016年からフリー。2018年からPINTSCOPEに参加。次に名古屋に行くときは、センチュリーシネマ、大須シネマ、伏見ミリオン座といった新しめのミニシアターにも行ってみたい!
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