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カリブで誕生したお酒、ラム。
僕たち夫婦の一年間世界一周新婚旅行は、アメリカからはじまりました。
アメリカから、メキシコへ。そしてキューバに飛びました。
カリブ海に面したキューバの首都ハバナで、僕らが行ったのが「Museo del Ron Havana Club」、ハバナクラブというラム酒メーカーの博物館です。
この博物館には、ラムの歴史、製造方法、ラムで作るカクテルについての資料などが展示されていて、最後に日本には入って来ていないラム酒の試飲もできました。
そして夜にはCasa de la Musica de Miramarというライブハウスに行って、ボトルのゴールドラムと現地のコーラを飲みながら、音楽を楽しみました。
映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』に登場して、世界中であらためて注目されはじめたラム。そのラムが生まれたのは、カリブ海の島々でした。
ラムの歴史の始まりは、大航海時代のキューバから。
コロンブスが持ち込んだサトウキビ栽培が、あまりにもキューバの気候に適していたため、そこに目をつけたスペインがアフリカから大量の黒人奴隷を連れて来て砂糖の工場を作り、キューバは世界一の砂糖の輸出国になりました。
サトウキビから砂糖を製造する際に出てくる副産物で、モラセス(糖蜜)という黒い液体があります。
そのモラセスを酵母で発酵させてお酒を作り、そのお酒を蒸留して出来たラム酒は「トラディショナル・ラム」と呼ばれます。今でも世界で飲まれているほとんどのラムはこの製法で作られています。
それに対して、搾りたてのサトウキビジュースをそのまま発酵させて作るラムは、「アグリコール・ラム」。サトウキビの収穫時期にしか作れない貴重なラムですが、サトウキビの香りや味わいが強く出てきます。
僕たちも以前、鹿児島の指宿でアグリコール・ラムのためのサトウキビ収穫と、ジュース搾り、発酵タンクへの投入までを体験、見学させてもらいました。その時に飲んだ、無農薬のサトウキビジュースはすごくキレイで優しい甘さがありました。
また、サトウキビジュースを保存が効くように加熱してつくったシロップ、もしくは固形化した黒糖で作るラムが、「ハイテストモラセス・ラム」。サトウキビ由来の香りもありつつ、通年いつでもラム酒を作ることができるというメリットもあります。
一方で、できたてのラム酒は無色透明。ホワイトラムと呼ばれます。原料の黒糖に由来する甘い香りはありますが、蒸留しているため、糖分はまったくありません。
木の樽に入れて熟成年数を重ねていくと、だんだんと色が濃くなって、樽の香りをまとっていきます。色の濃さによって、「ゴールドラム」「ダークラム」と呼び名が変わっていきます。
さらにスパイスやフルーツを漬け込んで、香りや甘さを足していく「スパイスドラム」と呼ばれるものもあります。
海賊に愛されたラムで作る、
ラムコークとフローズンダイキリ
スパイスドラムの名作がこちら。カリブの島国プエルトリコで作られた、「キャプテンモルガン」というラム。
写真のボトルは「キャプテンモルガン プライベートストック」という特別なボトル。高品質なダークラムに加えられたバニラやシナモンが、しっかり香ります。
ロックでもいいですが、コーラで割るとすっごく美味しいラムコークが出来上がります。
◎「スパイスラムコーク」の作り方
このボトルに「人生とは、愛と戦利品」というメッセージとともに描かれているのが、カリブ海で活躍した実在の海賊、ヘンリー・モーガン。漫画『ONE PIECE』にも彼をイメージしたと思われるキャラクターが登場しています。
海賊と言えばもうひとつ有名なのが、東京ディズニーランド開園当時から人気のアトラクション「カリブの海賊」。
ウォルト・ディズニーみずから、数々の海賊の伝説や民話をもとにして作ったと言われていますが、このアトラクションをモチーフにして作られたスピンオフ映画が『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズ(2003〜2017)です。
「海賊映画はヒットしない」というそれまでの常識を、第1作目からくつがえしたこの映画。見どころはなんといってもアクションシーン。特に「アステカの金貨の呪い」によって不死身になった海賊たちとの戦いは、月光の下では骸骨になり、光が遮られると肉体が戻るという仕掛けが楽しく、クライマックスまでの展開にもドキドキさせられてしまいます。
映画全体を通して、とにかく気持ちいいリズムで流れるストーリーに、ジョニー・デップやオーランド・ブルームが演じるキャラクターの魅力が加わり、しっかりとファンタジーに振り切っているジェットコースター映画です。
海賊たちがこの映画のなかで、飲んで飲んで飲みまくっているラム酒。
シリーズ2作目の『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』(2006)で、ジョニー・デップ演じる海賊ジャック・スパロウが「Why is the rum always gone?」というほど、スイスイとなくなってしまうらしいのですが、実際のラム酒は度数が40度前後あります。
長い航海に出る時に、すぐに腐ってしまう水ではなく、ラム酒で水分補給をしていたこの時代。実際はそのまま飲んだわけではなく、砂糖を入れて、ライムを絞って、水で割って飲んでいたため、非常に飲みやすかったみたいですね。
ビタミンC不足でおこる壊血病という病気の予防になり、当時は「ラム酒には壊血病の予防効果がある」と信じられていたそうです。もちろん予防効果を発揮していたのは、ラム酒ではなく、ライムに含まれたビタミンCだったわけですが。
ラム酒とライムと砂糖。この組み合わせ、今ではダイキリというスタンダードカクテルとして、世界中のバーで飲まれています。
余談ですが、ダイキリは、キューバ東部、サンティアゴ近郊にあった鉱山の名前。その鉱山で働いていた人が飲んでいたのが名前の由来です。
ライムのキュッとした酸味と、ラム酒の甘い香り、砂糖の甘味がキレイにとけあったダイキリ。シェーカーがなくても、氷といっしょにミキサーにかけて、フローズンダイキリにしても美味しいです。
◎「フローズンダイキリ」の作り方
・ライムジュース10ml
・ガムシロップ10ml
・氷100gくらいをお好みで
2.氷を取り出して液体だけをミキサーにかける
3.最後に砕いた氷を加えてミキサーにかける
カリブの青い海を見ながら、真っ白なビーチで飲むのも、もちろんおいしいとは思います。でも自宅のリビングで、ドキドキしながら、映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』を観ながら飲む、スパイスの効いたラムコークや、フローズンダイキリも、きっと一杯や二杯じゃ止まらないんじゃないかな。
もしかしたら、いつの間にかボトルが空いてしまってるかもしれませんね。
お気をつけください。
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