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映画の言葉『窓ぎわのトットちゃん』小林先生のセリフより

「さあ なんでも話してごらん 話したいこと 全部」

『窓ぎわのトットちゃん』
©黒柳徹子/2023映画「窓ぎわのトットちゃん」製作委員会
映画の中の何気ない台詞が、
あなたにとっての特別な“言葉”となり、
世界を広げ、人生をちょっと豊かにしてくれるかもしれない。
そんな、映画の中の言葉を紹介します。

さあ なんでも話してごらん
話したいこと 全部

By 小林先生

『窓ぎわのトットちゃん』より

「ねえ、話ちゃんと聞いてる?」
そう言われたこと、または伝えたことはありませんか? 聞いている本人はそのつもりでも、スマホを見ながらだったり、背をむけていたりすると、話す側は真剣に受け止めてくれていないと不安になるものです。頭では理解しているつもりでも、慌ただしい毎日の中で「話を聞く」のはなかなか難しいですよね。

映画『窓ぎわのトットちゃん』は、世界で最も多く発行された自叙伝としても有名な黒柳徹子の同名小説を原作にしたアニメーション作品です。主人公・トットちゃん(大野りりあな)は、好奇心旺盛で活発な女の子。興味を持ったことがあればすぐ行動し、自分が納得するまで探求します。しかし、その行動が教室のルールを乱し「迷惑になる」という理由で、通っていた学校を退学になってしまうのです。

途方にくれた母親が、次にトットちゃんと電車に乗って向かった先は「トモエ学園」でした。木々や花に囲まれた校門の先には電車の教室が見え、トットちゃんは目を輝かせます。 出迎えてくれた校長の小林先生(役所広司)は、トットちゃんに向き合い、こう話しかけました。

「さあ なんでも 話してごらん 話したいこと 全部」

トットちゃんがどれだけ話しても小林先生は「話し足りないことはないか」と問いかけてくれるので、興味のあることや将来なりたいもの、そして家族のことなどをどんどん話します。そして一通り話し終えた後、彼女はうつむきながら「どうしてみんな 私のことを困った子って言うの? 私はトットちゃんなのに」とつぶやくのでした。そんな彼女へ小林先生は、目線の高さを合わせ直し「きみは、本当は、いい子なんだよ」と伝えます。

「育ち」の場に、受け止める相手は欠かせません。それは、言葉も行動も、そしてその人自身も、価値は受け止める側があってこそ輪郭が現れるものだからではないでしょうか。ときには黙って見守り、ときには対話をしながら生徒たちを導いていく小林先生のもとで、トットちゃんはワクワクに満ちた日々を送ります。

その一方、本作では、子供たちの輝く日常を戦争がだんだんと侵食していく様子も描かれています。大人たちからはだんだんと子供を受け止める余裕が奪われ、子供たちの日常やイマジネーションからは色彩が失われていきます。映画館で今作を鑑賞していた子供が隣の親に「これはトットちゃんの怖い夢なの?」と問いかけた言葉が忘れられません。

「平和な世界」は「永遠につづく未来」ではありません。そのために私たちは何をすればいいのかを、小林先生の「世に恐るべきものは『目あれども美を知らず、耳あれども楽を聴かず、心あれども真を解さず、感激せざれば燃えもせず』の類である」という言葉をたずさえて考え続けたい。変化の中をたくましく生きる「トモエ学園」の先生たちと子供たちの日常を体感し、そう思いました。

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窓ぎわのトットちゃん

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INFORMATION
映画『窓ぎわのトットちゃん』
声の出演:大野りりあな 小栗旬 杏 滝沢カレン/役所広司
主題歌:あいみょん「あのね」(unBORDE/Warner Music Japan)
原作:「窓ぎわのトットちゃん」(黒柳徹子 著/講談社 刊)
監督・脚本:八鍬新之介 共同脚本:鈴木洋介
キャラクターデザイン・総作画監督:金子志津枝
イメージボード:大杉宜弘 西村貴世 車輌設定:和田たくや
美術設定:矢内京子 美術監督:串田達也 色彩設計:松谷早苗
撮影監督:峰岸健太郎 編集:小島俊彦 音響監督:清水洋史 音響効果:倉橋静男 西佐知子 音楽:野見祐ニ
アニメーション制作:シンエイ動画 
製作:黒柳徹子/2023映画「窓ぎわのトットちゃん」製作委員会
配給:東宝

全国東宝系にて公開中
©黒柳徹子/2023映画「窓ぎわのトットちゃん」製作委員会
落ち着きがないことを理由に、小学校を退学になってしまったトットちゃん。
新しく通うことになったトモエ学園の校長先生は、出会ったばかりのトットちゃんに優しく語りかけた。
「君は、ほんとうは、いい子なんだよ。」
トットちゃんの元気いっぱい、すべてが初めてだらけの日々が始まるーーー
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