ウラン技師・加納竜次は同僚の西岡と安井と共にウラン鉱探索のために久賀村を訪れた。その時ジープが何かに反応し、ハンドルをとられて小さな祠を壊してしまった。突如、犬がジープに吠えかかり、避けそこなった車輪は犬を巻き込んでしまう。その帰途の山間で加納は湯浴みしていた剣持麗子と垂水かおりに出会い、その一年後、麗子と結婚する。披露宴が東京で行われ、その会場で西岡が発狂して自殺する。西岡の葬儀の日に、今度は安井が野犬の群れに襲われて死亡する。麗子は久賀村の壊された祠や親友のかおりが竜次に惚れている事を知り、これは犬神の祟りだと直感する。麗子は古来から伝わるお守りを竜次の首に掛けて必死に祈るが、次第に麗子の精神は異常をきたしていく。現代医学でも治療できず、止む無く竜次は麗子の実家へ帰郷する。犬神憑きと断定された麗子は、憑き物落しの祈祷師の責め苦に耐え切れずに息を引取る。この麗子の死に久賀村で犬神憑きの家系として忌み嫌われていた垂水家は村人達の憎悪の集中砲火を浴びる。さらにウラン鉱採掘で使った硫酸が、久賀村の水源に流れ込み村人に死者がでた。村人たちはそれを犬神=垂水家の仕業だと思い込み垂水家を襲撃する。留守でその場にいなかった主人の隆作は助かるが、妻君代、娘かおり、息子勇が惨殺された。隆作は犬を土中に埋めて、呪いとともに犬の首を刎ねると、宙を飛ぶ犬の首が隆作の喉笛に深々と咬みついた。そしてその瞬間、雷鳴が轟き、麗子の妹磨子に犬神が憑依、村人たちへの復讐が始まった。月夜に影を映して小さな魔物が跳梁跋扈する…。
スタッフ:企画:天尾完次、安斉昭夫
脚本:伊藤俊也
撮影:仲沢半次郎
美術:桑名忠之
音楽:菊池俊輔
監督:伊藤俊也
出演:大和田伸也、山内恵美子、長谷川真砂美、泉じゅん、三谷昇、小野進也、小林稔待、白石加代子、川合伸旺、三重街恒二、相馬剛三、加藤淳也、伊藤高、河合絃司、鈴木瑞穂、室田日出男、岸田今日子、小山明子