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あらすじ
ある夏。東京の女である恵美とお菊は身延山への参詣をすませ、その夜下部温泉の宿に泊まった。
その宿には学者の片田江や足の不自由な戦傷帰還兵・納村が逗留していた。
ある朝、納村が風呂に落ちていた簪(かんざし)が足に刺さり負傷してしまう。翌日、その簪の落とし主から「簪を探してほしい」との手紙が届き、主人は納村に詫びに来るよう返事を出した。
その簪の落とし主は恵美であった。わざわざ東京から詫びに来た恵美に対し、納村はすっかり恐縮してしまう。その後も東京に帰らず、納村の歩行訓練を手伝うなどして、逗留客たちと交流する恵美。じつは彼女は妾の身分であり、その生活から抜け出したいと考えていた…。
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