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逃げ場のない状況で向き合うのが、家族や夫婦
― 今日の衣裳、素敵ですね。まるで、ドラマの中の一子と二也を見ているみたいです。
今泉 : ドレッシーにも見えるし、カジュアルさもあっていいですね。
高畑 : これウェディングドレスなんです。もっとブライダルっぽい衣裳も準備してくださってたんですけど、ガチガチのドレスよりこっちの方が作品に合うかなと思って。
岡田 : 確かに。
― 作品だけでなく、お二人が演じた夫婦のイメージにも合いますね。今作は、仲を円満に保つため“婚外恋愛許可制”を選択した夫婦・一子と二也が、そこから起こる関係性の変化に迷い、悩みながら、「夫婦のかたちとは?」を考える姿が描かれていました。それは二人がこれまでの「夫婦像」にとらわれず、柔軟に関係性を一緒に考えられる二人だったからとも言えると思います。
― 人と人が向き合い、徹底して対話を重ねていくドラマでもありましたが、一子と二也という夫婦の会話、例えばその間合いや掛け合いは、何を起点につくられたのでしょうか?
今泉 : どうでしたっけ? 撮影からだいぶ時間が経っていて…。
高畑 : 半年以上前の撮影だったんですよね。
岡田 : そうだったね(笑)。
― 例えば、第一話で、二也が婚外恋愛の相手である美月(西野七瀬)に会うため、一子との結婚記念日の温泉旅行を「延期したい」と言い出す場面。
高畑 : 和食料理屋さんのカウンターで、並んでお刺身食べてる時の。
今泉 : あー!!
岡田 : 撮影の初日だ!
― 初日だったんですね! 「外での恋愛事情は家庭内に持ち込まない」という二人のルールを破ろうとした二也に、一子は「最近なんか雑になってない? 調子に乗ってるっていうか」と不満をぶつけ、婚外恋愛を選択した二人の関係に初めて波紋が広がるシーンですが、二也は不機嫌になる一子にさりげなくお酌をしたりしていて、その後険悪な空気は穏やかさを取り戻していくんです。
岡田 : そうそう(笑)。
― あの一連の会話から、「この二人は、こういう二也のどこか憎めないキャラクターによって、円満に続いてきたんだろうな」と感じました。あの会話はどうやって?
岡田 : お酌するのは、台本に書かれてましたよね。
今泉 : 書いてありました。妻が脚本を書いたんですけど、不思議な部分ですよね、確かに。
― 今作は、今泉監督のパートナーであり、映画監督でもある、今泉かおりさんが脚本を書かれています。
今泉 : あの場面は二也の憎めないキャラクターがよく出ていますよね。一子に「は?」って言われて、あそこまで突っ込まれたら、普通は動揺しそうなものだけど、「あ、ほんとに?」くらいのテンションだし(笑)。
高畑 : そうでした。
岡田 : 僕はあのシーンを初日から撮ることが結構怖かったんですよ。だから、高畑さんや今泉監督と事前にお会いする時間をもらって、撮影に入る前に関係性をつくらせてもらいました。だからこそ、あの自然な空気がつくれたんだと思います。
― なるほど、事前に関係性をつくられた上で撮影に臨まれたんですね。
今泉 : あそこで覚えてるのは、一子が二也に怒って一回険悪になった後に、「よし、じゃあこの話は終わり」と喧嘩モードから切り替えて、再び料理を食べ始めた場面。そこで「美味しい」っていう言葉をどちらから先に言いだすかというのは、結構話したかも。
最初は二也が先となってたんだけど、それだと自分の発言が原因で揉めたのに、さすがに厚かましいかもね、とか(笑)。それで一子が言うことにした。
― 切り替えた後、二人で刺身を食べて「美味しい」と言い合い、空気が元に戻る感じが、一子と二也らしさが出てましたよね。
― このドラマには、食事シーンが本当に多く登場しますが、二人で向き合ってお茶を飲んだり並んで餃子を包んだりする時の幸せな空気や、一人でインスタント食品を食べる時の寂しさなど、食卓を通して心情が見えてくる演出が多くありました。
岡田 : それこそ、食事の時の二人の並び方って、その都度結構話しましたよね?「このシーンはこういう感情だから、向き合うよりも隣に並んだ方がいいかな?」とか。
高畑 : ダイニングの私が座ってる椅子が、「一人掛け」じゃなくて「ベンチチェア」だったのがよかったですよね。その時の感情によって、二也が隣に座ったり座れなかったり、私が膝を抱えて座ったり、いろいろできて。
― 向き合うか、隣に並ぶかで、会話は変わってきますよね。
高畑 : よく食べた撮影でしたよね! すごく美味しかったです、フードスタイリストの飯島奈美さんの料理が。
― どの食事も二人が美味しそうに食べていて、一緒に食事をすること、「美味しい」という気持ちを共有することは、二人の中でとても大切にしている時間なのだろうなと感じました。
岡田 : 俳優からすると、食事のシーンって難しいんですよね。食べながらおしゃべりをするというのは普段からしてるはずなんだけど、それがお芝居になると、「このタイミングで口に入れて…」とか考えてセリフが出てこなかったり、ずれちゃったりして。
でも今回は、一連の会話をワンカットで撮ることが多かったからか、食事のシーンでやりづらいことが一切なくて。楽しくおしゃべりしたり、時に喧嘩したりしながら、自然に食べていた気がします。
― では「緊張して味がしなかった」というシーンは…?
高畑 : そういえば、全然なかったです! 全部美味しかった(笑)。
岡田 : ドラマの中で言ってる「美味しい!」は、全部リアルな「美味しい」だよね。
― 何度も出てくる、夫婦で「美味しい」と言い合うシーンでは、二人の波長がぴったり合ってましたよね。
今泉 : ああいう掛け合いも、食べながらのリアルな間でやってるんです。さっきの撮影初日のシーンも、いきなり会話の本題に入るんじゃなくて、「アオリイカっ」「真鯛っ」とか言い合ってる時間がめっちゃある。
それができたのは、時間を贅沢に使える配信ドラマだから、二人のテンポで好きにやってもらうことができました。
― 今作では、キッチンやダイニングなど、家の中の狭い空間で向き合って会話をするシーンが多くありましたが、そういう逃げ場がない、追い込まれるようなシチュエーションで対峙することは、演じる上でも、より感情が引き出されていくのでしょうか?
岡田 : なんか、その「逃げられない空気」というか、家の中だと「向き合うしかない」というのがあって。夫婦ってそういうことなのかなと思ったりしましたね。人との価値観のずれを合わせていくのは、とても体力がいることなんだなというのは、本当に体感できました。
そうだ、特にあれがすっごい怖かったんだよね、二也が絶対に一子に隠したいと思ってたことがバレた「剣山のところ」。
― 二也が婚外恋愛関係にあった美月に生花用の「剣山で刺されたことが、一子にバレるシーン」ですね。第4話の、物語中盤のハイライトのようなシーンでした。
岡田 : 最初のリハの時も、一子の目が見れないくらいの緊張感があって…。
今泉 : ワンカットで一子と二也の会話をすごく長く撮ったところね。
岡田 : そう!! 恐怖でしかなかった…。
今泉 : 二也の隠していた「剣山で刺された時の血のついた服」が一子に見つかり、そこから二也が問い詰められるシーン。「これは何?」って、服の入った紙袋を二也に見せるだけでもわかるところを、一子が紙袋を逆さまにして、バサバサって中身を落とすのが怖かったよね(笑)。
高畑 : 台本にあの動作が書かれていたわけじゃなかったんですけど、私は読んだ時からそのイメージしかなくて。「怒って」というよりも、二也へシンプルに「問いたかった」というか。
でも怖く見えたみたいで、現場でも、「なんでそうやったの!?」「やべー!」ってみんながざわざわしてるのを感じました(笑)。
― 会話を軸に二人の関係が大きく動いていく場面でした。剣山で刺されたことを二也が明かした時の「一子の反応」が、二人の関係性をよく表しているなと。予想外だったので、一子の反応に胸がつまりました。
今泉 : 一緒に泣いて悲しむというね。原作では、もっと詳しく描かれているシーンなんですよ。剣山で刺されたことを伝えた時の、一子の反応をいくつかパターン違いで二也が想像する場面が描かれていて。だから、その反応はまさしく二也が感じたであろう気持ちと一緒なんです。
今泉 : あのシーンは、二人の演技が本当に素晴らしくて。今回、感情が荒ぶった方がいいのか、抑えらた方がいいのか、どのシーンでも結構迷いました。
このシーンも、テストよりも本番の方が感情が高ぶっていたので、少し抑えてもう一度撮るか、すごく迷ったんですけど、「きっとこれを撮り直しても、編集の時に俺は最初のを選ぶだろうな」と思ってワンテイクでOKにしました。
― つられて二也も泣いてしまうというのは、現場で岡田さんの中から突然溢れてきたものだったんですか?
岡田 : あれ不思議なんですよねー。よくわかんなかった。
今泉 : 二也、泣きすぎじゃない?(笑)
傷つきすぎないように、全部の言葉を受け止めなくていい
― 客観的に見ると、二也は“婚外恋愛”などなかなか酷いことをしているのですが、第2話で、一子が自分の母親との関係で心に傷を抱えていることや、夫(高良健吾)が育児に向き合ってくれない美月の孤独が描かれていた時に、どちらを見ても「二也がそばにいてあげて良かった」と思ってしまいました。
今泉 : あーそれはもう、完全に二也ファンになってますね。
高畑 : 二也ファン(笑)。
岡田 : やったね…。
今泉 : この前取材してもらったライターさんは、その第2話を見て「二也はサイコパスだ」って話してましたよ(笑)。
岡田 : あははは!
高畑 : 二也は、見る人によって受け取り方が分かれるんじゃないかな。
今泉 : 一子は原作のイメージ通りだったと感想をもらうことが多いけど、二也は岡田さんが演じることで、間合いとか話し方がより甘い感じになって、それが憎らしく見えるという人も、優しく見える人もいるんだなと思いましたね。
岡田 : でもこうしてインタビューを受けていると、自分の役を良く言おうとしてしまってる自分にだんだん腹が立ってきました(笑)。
今泉 : はははは! 「俺は悪くない!」って?
高畑 : 現場でもずっと「嫌われたくない」って言ってたもんね。
今泉 : 俺も、基本的には一子のスタンスで現場にいてしまうことが多くて。
5話で、二也が生け花教室を辞めずに続けていて、それを知った一子が二也に怒りをぶつけるシーンで、テストが終わって本番に入る前に、「こんなに一子の気持ちに気づけない二也って、一子にしてみたらやっぱキツいよね。ひどいよね」言ってたら、岡田さんに「監督、僕の気持ちもちゃんと考えてくださいよ!」って言われて(笑)。
高畑 : 岡田さん、二也を守れるのは自分しかいないって思ってたんですよね。
岡田 : 一応頑張ってバランスをとって演じようとしてたんですけど、シーンを撮るごとに、二也として感情が変わっていくのが自分でも面白くて。
今泉 : 二人とも、すごいバランスで臨んでくれていたと思います。それにしても、二也が泣きすぎだったけど(笑)。
― 「二也があんなに涙もろいキャラクターになったのも、岡田さんが本番で自然と泣いてしまったから」だと、今泉監督はコメントされていましたね。
今泉 : 台本の1.5倍くらい泣いてました。後半で、一子に別れたいと言われるようなシーンでは、止まらなくなるくらい泣いてたから、そうじゃないパターンもお願いしようか迷ってたら、岡田さん自ら「すみません、もう一回やらせてください」って言ってくれて。
「あ、伝わってる」と思ったけど、次のテイクも泣いてた。
岡田 : (笑)!
今泉 : 一子と正面から向き合うとだめだから、ちょっと視線を逸らしつつやってもらうとか、いろいろ考えたよね。
高畑 : ありましたね。どうやったら泣かせないでできるか、みたいな。岡田さんが、「他の現場では俺は芝居中に泣かないんだ」って言ってたけど、ほんとかなぁって(笑)。
岡田 : それ言った30分後にめっちゃ泣いてたよね(笑)。「なんでなんだ!?」って俺もよくわかんなくて。多分、一子ちゃんのことがすごく好きだったから、傷つけたくないという気持ちになってたんですよね。
あとは、現場のみなさんが本当にいい空間をつくってくださって、その中でお芝居をしていたので、敏感になってたんだろうな…良くないなぁ。
高畑 : 良くないことないですよ(笑)。
岡田 : 初めての体験で、自分でも不思議でした。演じていくうちに、悪い、悪くないっていうことだけで判断できない、二人の関係があるんだろうなと感じて。複雑な二人ですよね。
― 先ほど岡田さんも「人との価値観のずれを合わせていくのは、とても体力がいることなんだなと体感できた」とおっしゃっていましたが、現実では、関係性を見つめ直すために、ここまで本心に踏み込んでいくということは、なかなか怖くてできないと思います。
高畑 : そうですよね。
― 本心を言語化して、対話を通して相手ととことん向き合う、というコミュニケーションを今作の中で体験されてみて、いかがでしたか?
高畑 : 確かに、普段ここまで言語化することって中々ありませんよね。私は、結構感情的な人間なので、山の天気くらい気分が変わるんですよ。現場ではそうならないようにしていますが。だから、今の自分の気持ちを全力で言語化しても、1時間後に同じ気持ちかと言われると、ちょっと保証ができないないところがあって(笑)。
だから、「私はこう思うからこうしてほしい」みたいな、自分の気持ちを言語化して相手に伝えるような人生ではなかったかも、と思いました。人と向き合うことって大事なんだなと、今回一子と二也からめちゃくちゃ教わりました。そもそも、気持ちを言語化するのって難しいですよね。
今泉 : うん。
高畑 : 「うまく言葉にできないけど、こう思うんだもん」ということの方が多い気がします。
岡田 : 僕は、思いを伝えるというのとは逆ですけど、人の言葉を聞き逃さないようにしているせいか、相手の言葉が自分の中に残りすぎちゃうんですよね。
― 言葉を受け止めすぎてしまう、ということですか?
岡田 : はい。で、勝手に傷ついてるという。この現場でも、一子ちゃんのセリフが結構響いてずっと傷ついてて…。だから僕は、プライベートでも、もっと「聞き逃そう」と思うようになりました。それが、生きていくために僕には必要だなって。
今泉 : 高畑さんの言う、“1時間後に変わるかもしれない”相手の言葉も、岡田さんは真剣に聞き続けちゃうんだろうね。
岡田 : そうなんです。時には「聞き逃す」ことも大事なことだと思いましたね。
高畑 : それでひとつ思い出したことがあって。さっき話題に出た、第4話の一子が二也の「剣山」を問い詰めるワンカットのシーンで、監督がしばらく悩んだ感じになった時に「良すぎて、もう一回撮るか迷ってます」って言ったこと覚えてますか?
今泉 : うんうん。
― 先ほど、今泉監督が、「感情を抑えてもう一回撮るか迷ったけど、結局OKにした」とおっしゃっていた、長回しのシーンですね。
高畑 : 私は言葉のまま受け取って、「あ、良かったんだな。でも他の可能性もパターンとして見たいから迷ってるのかな」と思ってたんです。でも、後で聞いたら岡田さんは、「ああ言ってたってことは、良くなかったんだと思った」と言ってて(笑)。
同じタイミングで、同じトーンの言葉を聞いたのに、こんなに真逆に受け止めることある? ってびっくりしました。
岡田 : 僕は、“監督は、俺たちにすごい気をつかって「良すぎて」って言ってくれたけど、本当はもう一回撮りたかったんだろうな”って受け止めたんですよね。控室の中で、すごい前向きな人と、すごい後ろ向きな人がいるという(笑)。
今泉 : なるほど! それめっちゃ面白いですね。正直、もう一回撮るかこのままいくか自分の中に迷いがあったから、映像を何度もチェックしていて。それで、結構二人を待たせちゃったんですよね。その時に、なんとかフォローしなきゃと思って伝えた言葉が、「良すぎて、もう一回撮るか迷ってました」だったんだけど、「“良すぎて”って、疑われる言葉かも…」と自分でも言いながら思ってて。
その通り岡田さんは疑ってたんだね(笑)。一方で全く疑わなかった高畑さん、という。
― そのお二人の対比が、直感型で前向きな一子と、細やかで感受性が強い二也という組み合わせのバランスをつくり上げていたのかもしれませんね。
高畑 : 言葉の受け止め方って人によって違うし、あの瞬間ひとつとっても、会話って難しいなって思いました。
高畑充希、岡田将生、今泉力哉の「心の一本」の映画
― では、最後にみなさんにとっての「心の一本」の映画を教えていただきたいです。最近ご覧になった映画の中で、特別な記憶として覚えている作品はありますか?
高畑 : 『悪は存在しない』(2024)です。
岡田 : あぁ!
今泉 : 不思議な映画でした。短編っていう印象の長編というか。
高畑 : あれが最近私の中でめちゃめちゃヒットでした。本当に面白かったです。
― 『悪は存在しない』は、昨年のヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞した、濱口竜介監督の最新作ですね。静かな山間の町に持ち上がったグランピング施設の建設計画を起点に、人々の心に波紋が広がっていく様子を描いた作品です。
高畑 : 密閉された映画館にいるのに、あんなに広く自然を身体で感じられる映画ってないなと思って。日光浴しに行ったみたいな気持ちにもなったし、でも最終的にはとんでもなく突き放される映画でもあって。
あんな読後感はなかなかないというか。突き放されすぎて笑っちゃうというか(笑)。
― 自然の中に突然放り出されてしまったような。
高畑 : そうなんです。森の中で失踪しちゃった、みたいな感情になって。でもそれも濱口監督が構造を考えてつくっていらっしゃったんでしょうね。それが大変新鮮で。あと、京都の小さな映画館で観たので、その体験も含めてすごく良かったです。旅先で映画を観た、ということが。
今泉 : 京都のどこですか?
高畑 : えっと、京都シネマです。で、映画館出た後、普段買わないような小物とかいっぱい買っちゃった(笑)。そういう清々しさがありましたね。好きな映画でした。
― 岡田さんはいかがですか?
岡田 : もちろん『悪は存在しない』も観てますし、最近では『ありふれた教室』(2024)という映画もすごく良かったです。
― 『ありふれた教室』は、ある学校で起こった盗難事件が予想もつかない方向へと進み、学校内の秩序が崩壊していく様を描いた、サスペンス作品ですね。第96回アカデミー賞の国際長編映画賞にもノミネートされました。
岡田 : はい。素晴らしかったです。…でも、今ずっと頭の中に残ってるのは、配信で観た『MEG ザ・モンスター』(2018)なんです。
高畑・今泉 : !
― 『MEG ザ・モンスター』は、200万年前に絶滅したはずの巨大サメに襲われた潜水艦を助けようと、ジェイソン・ステイサム演じるレスキュードライバーのチームの闘いが描かれたアクション・スリラーですね。
岡田 : もちろん『ジョーズ』(1975)とかも観てるんですけど、ここ数年そういうのを観てなかったから、すごいワクワクしちゃって。こんなにサメを待って、興奮している自分がいることにびっくりして。
『MEG ザ・モンスター』は、環境問題とかも含まれてる中で、圧倒的なサメの主役感がすごいんです。最後も、巨大サメと戦うジェイソン・ステイサムが素手なんですけど、「マジかよ!!」って(笑)。
今泉 : あははは!
岡田 : 自分もこういう映画に出たいなって思いました。
高畑 : サメと戦う岡田将生、観たい!
岡田 : どコメディになるかもしれないけど(笑)。
高畑 : 本当にサメ映画は、奥が深いからね。『シャークネード』(2013)を観てほしい。
今泉 : 全然知らない(笑)。
高畑 : 私、サメ映画がめっちゃ好きなんですよ。サメ映画しか観てない時期もあったくらいで。だから、海入れないんですよ、怖くて(笑)。
岡田 : どういうこと!?(笑)
今泉 : 出てきそう、って思っちゃうんだ。
高畑 : そうなんです。
― 最後に、今泉監督はいかがですか?
今泉 : ちょうど昨日、三宅さんの…
高畑・岡田 : 『夜明けのすべて』(2024)!
今泉 : そう、『夜明けのすべて』を観て。面白かったですね。
― PMS(月経前症候群)とパニック障害を抱えた男女が、互いに手を差し伸べていく様子を描いた、三宅唱監督の最新作です。
今泉 : 笑える場所も問題が起きる場所も、本当に静かな山が連なってるみたいな映画だったので、それがすごく良かったですね。三宅さんは元々面識もある監督で、その前の『ケイコ 目を澄ませて』(2022)も好きでしたけど、うん、最近観て一番好きな映画でした。
― 寄り添い方に、心地よい距離が保たれていましたよね。ポテトチップスの食べ方から、どう見ても恋愛に発展しなさそうな二人の関係性が見えたり。
今泉 : あそこもすごいですよね! 相手の前で、こんなに美しくない姿が見せられるんだ、というひとつの行動で恋愛感情のなさを示す。素晴らしい演出でした。相手を尊重しつつ、近づきすぎないところが良かったですね。
一緒に帰ってるけど、忘れ物をしたから戻るねとなった時に、普通は待ちそうなところを「じゃあ」って先に帰る感じとか、「さすが、三宅さん!」と思いましたね。でも今日1日中はちょっと、俺の中で『MEG ザ・モンスター』がぐるぐるしそう(笑)。