目次
女性の生き方を魅力的に描く3部作の最終章
映画『私がやりました』
あの時代設定が逆にリアル!
試写会&トークイベント
10月27日に、映画『私がやりました』の特別試写会が行われました。
試写会後のトークイベントには、ゲストとして、「恋バナ収集ユニット 桃山商事」代表の清田隆之さんと、映画・音楽パーソナリティの奥浜レイラさんが登壇。
本作について語る前に、お二人は以前から交流があり、今回のトークイベントでは「清田くん」「レイちゃん」と普段どおりの呼び方で進めたいとお話がありました。アットホームな会場の雰囲気が、ますます親密に!
まずは、今作についての感想を聞かれた清田さんは、「フェミニズムやジェンダーの文脈、もっと言えば2017年以降の『#MeToo』運動の要素も多分に含まれていたのに、とてもライトな感覚で観れたことにとても驚いた」と率直な印象を語りました。シリアスなテーマを繊細に扱いながらも、笑える作品に仕上げられている、そのバランス感覚に言及。
それを受けて奥浜さんは、フランソワ・オゾン監督は様々な作風がありながらも「シニカル(皮肉)」という視点は一貫してあること。また、どの作品も「社会を捉える眼差し」が的確であるということを説明。
そして今作は、『8人の女たち』『しあわせの雨傘』に続く、「女性の生き方を魅力的に探究した」3部作の最終章として、フランソワ・オゾン監督が言及していることも伝えられました。
今作では、貧乏な若手女優マドレーヌが有名映画プロデューサー殺人の容疑で裁判にかけられる姿が描かれるのですが、裁判で弁護士と検事が陪審員たちに「真実」と納得させるための要素を積み上げストーリーを作っていく様子が、「悪者」「可哀想な人」など社会的な制裁がストーリーテーリングによって決まってしまう「SNSでの炎上」や「マスメディアの報道」の構図と似ていたという清田さんの鋭い指摘が。
それは巧みな舞台設定にあると、奥浜さんが解説。今作は1935年を舞台にした戯曲が原作なのですが、オゾン監督が書き換えて、語り直していると。「現代劇ではなく、観客と映画の間に距離をつくることで、より客観的にジェンダー他の問題と向き合えるようにした」とおっしゃっていたそうです。
「既視感のある”男性ばかりの景色”」や「メディアの”女性”の取り上げ方」「新しいシスターフッドの在り方」「被害者ポジションでの語り」などといった現在につながる様々なテーマに二人の話題は広がり、最後の「実は冒頭に事件のヒントが隠されている」という奥浜さんの気になる一言でトークは終了!
「繰り返し観ることで発見がたくさんあり、観た後、今日話したようなテーマで議論したくなる映画でもあるのが、すごくいいですよね」というお二人の言葉に、観客からはウンウンとうなずく姿が多く見られました。
〈みんなから届いた声〉
映画『私がやりました』感想
10月27日に開催された映画『私がやりました』のトークイベント付き特別試写会に参加され、PINTSCOPEに感想をお寄せいただいたみなさんの声をこちらに掲載します!(PINTSCOPE編集部で厳選し、掲載させていただいております)
ご参加いただき、ご感想をお寄せいただいたみなさん、ありがとうございました。
この度@pintscopeさん主催の試写会に参加です。
— 玲子🎧💬🐟 (@tamatebaco99) October 28, 2023
1930年、時代は違えど女性が抱える苦悩と尊厳。一歩前進する度に阻害される社会的地位。それぞれの『テーマ』はいつの時代も同じフランソワ・オゾンが贈るラストまで観客を離さないクライムサスペンス!
オゾンは女性達の味方です。#私がやりました pic.twitter.com/pAtIyxrfH3
#私がやりました @pintscope 試写会で観た
— ジャイアントあつひこ (@g_atsuhiko) October 27, 2023
過去色々見たオゾン監督作品の中でも、一番好きかも。1934~35を舞台に現代と重なる風刺が完璧に機能した皮肉が刺さりまくる
そしてそして奥浜さん清田さんのトークが流石!映画見たら絶対触れて欲しい部分を総ざらいして下さって、それそれっ!祭りで嬉しかた pic.twitter.com/hRDor8kPHv
上映後に「桃山商事」の@momoyama_radio、映画・音楽MC&ライターの@layla_okuhamaの対談トークがあり、MeTooやジェンダー不平等がテーマでそこまで重くなく軽快なテンポで展開する物語で衣装や構図にこだわりを感じられオシャレかつ内容も面白く飽きずみれました😆✨✨#フランス映画#コメディ pic.twitter.com/LNXHUPcEH0
— シナモンチュロス (@cinamonchurros) November 1, 2023
『私がやりました』有名映画プロデューサー殺害容疑をかけられた三流女優!己の無罪を主張するが、あれ?よく考えたら正当防衛で殺害したってことにすれば名が売れるじゃん!ってことで自白!!友人の弁護士と共に「有罪」を勝ち取る逆転裁判コメディ!@pintscope 試写会で観賞。#私がやりました pic.twitter.com/43Lfdviaen
— 平野レミゼラブル@キネマ荘 (@28kawashima) October 27, 2023
『#私がやりました』を試写会鑑賞。公正より、正義を重んじる時代。したたかな女性たちがピンチを乗り越えていく様は、痛快さを覚える。女性軽視なジェンダー問題を抱えながら、重くならないブラックユーモアに、クスっと笑ってしまう。裁判所がまるで舞台のようだった。@pintscope 試写会で観た pic.twitter.com/giznpR3dOQ
— 映画泥棒V2 (@mooovie) October 27, 2023
@pintscope さん主催の試写会にて鑑賞、終わりの奥浜レイラさんと清田隆之さんのトークショーは和やかながらもこの映画の本質のテーマに掘り下げていたのが印象的、社会構造を俯瞰的に見ることが大事だとつくづく思う、ライトながらも実は考えさせられるテーマはフランス映画ならでは #私がやりました
— Ayu (@honeeey_ayu) October 27, 2023
『#私がやりました』@pintscope 試写会で観ました。
— ボン (@tikitikiba_n) October 27, 2023
テーマ自体は重いのに皮肉とユーモアのバランスが絶妙でクスクス笑える。男性の無能さ、間抜けさをシニカルにわかりやすく、女性差別をうまく使った展開。めちゃくちゃ作り込まれたストーリーでテンポも良く面白かった。 pic.twitter.com/pqwsVHVC3P
『#私がやりました』はシニカルなエンターテイメント!
— 雨宮はな@スーツケースひとつで生きる映画好きな日本人 (@amemiyahana) October 28, 2023
私たちがいかに「見たいように見ているか」を「見せたいように見せる」に再構築して全部を嗤おうとする、オゾン節炸裂な作品。
社会的なテーマがぶっこまれつつ、名前の付いた現代的な現象は層の浅い部分に過ぎないときた!@pintscope 試写会 pic.twitter.com/rowbYIRJI6
うまー。面白い。#私がやりました は、ハゲでデブで中年のセクハラ・プロデューサーの頭を、銃で撃ち殺した女優が「悲劇のヒロイン」になる話。フェミニズム映画の皮をかぶり、実際には2歩くらい先を行くブラックコメディ。こういう映画でしょ。って思い込みが一番怖いやつね…@pintscope 試写にて pic.twitter.com/TPI0Sa3Ttg
— たにザッケローニ🇯🇵🔙🇺🇸 (@Tani_Zaccheroni) October 27, 2023
だが、そもそも、その二元論への・また異性愛規範への固執が生み出すあらゆる不均衡や差別を皮肉を交えて(てかずっと皮肉で笑)描いていたので
あえてこの映画ではその枠組みを「強調」する必然性があるようにも考えられたし、超楽しかった。あとクィア(特に異性愛にのっとられない存在としての)の表象のしかたが私個人的にはめっちゃリアルで、はい!今見たいやつです!ってなった。 (あとその表象も入れとくか、みたいなレベルではなく、奥浜さんが言っていた映画冒頭の描写を深読みすると、むしろこの“女女”を描くためにオゾンは制作したんじゃないかと思ってしまうほどだった)この映画はとてもおすすめできる!!