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映画の言葉『かそけきサンカヨウ』鈴木沙樹のセリフより

「いちばん言いたいことが言えないってさ、それって好きってことなんじゃないの? 大切だから言えないってことなんじゃないの?」

© 2020 映画「かそけきサンカヨウ」製作委員会
映画の中の何気ない台詞が、
あなたにとっての特別な“言葉”となり、
世界を広げ、人生をちょっと豊かにしてくれるかもしれない。
そんな、映画の中の言葉を紹介します。

いちばん言いたいことが言えないってさ、それって好きってことなんじゃないの? 大切だから言えないってことなんじゃないの?

By 鈴木沙樹

『かそけきサンカヨウ』より

聞いてもらいたいことがある。確かめたいことがある。けれど、本当に伝えたいあの人に向き合うと、言い出せなくなってしまう…。いちばん言いたいことを、いちばん聞いてほしい人に伝えるのって、とても勇気がいることですよね。

『かそけきサンカヨウ』は、幼い頃に母と別れ、父と二人で静かに暮らす高校生・陽(志田彩良)を中心に、その同級生や家族たちの交流を描いた作品です。それぞれの暮らしの中で、時に傷つきながらも自分や相手の気持ちに向き合い、ゆっくりと変化していく姿が描かれています。

「いちばん言いたいことが言えないってさ、それって好きってことなんじゃないの? 大切だから言えないってことなんじゃないの?」

これは陽の同級生の沙樹(中井友望)が、陽と同じ美術部に所属し、陽が想いを寄せる陸(鈴鹿央士)に伝えた言葉です。「自分には何もない」と感じていた陸は、家族や陽に伝えられない想いがありました。しかし、沙樹の言葉や、陽の自分に向き合う誠実な言葉をきっかけに、上手く表現できない気持ちや自分の姿をそのまま伝えようと試みるのです。

自分の気持ちなんて曖昧で、なかなか理解するのは難しい。それを相手に伝えるとなれば、なおのことでしょう。だから、伝えたいことを伝えられなかったとしても、それを否定しなくていい。それは相手を大切に思っている証だから。でも、もし少しの勇気があるならば、陽や陸やこの映画の登場人物たちように、ありのままの気持ちを伝えてみてはいかがでしょう。相手や自分のそれまでわからなかった姿が、見えてくるきっかけになるかもしれませんよ。

↓『かそけきサンカヨウ』原作を読む!

水やりはいつも深夜だけど (角川文庫)

BACK NUMBER
INFORMATION
『かそけきサンカヨウ』
出演:志田彩良 / 井浦 新
鈴鹿央士 中井友望 鎌田らい樹 遠藤雄斗
石川 恋 鈴木 咲 古屋隆太 芹澤興人
海沼未羽 鷺坂陽菜 和宥 辻 凪子 佐藤凛月
菊池亜希子 / 梅沢昌代 西田尚美 / 石田ひかり
監督:今泉力哉
主題歌:崎山蒼志「幽けき」(Sony Music Labels)
原作:窪美澄『水やりはいつも深夜だけど』(角川文庫刊)所収「かそけきサンカヨウ」
脚本:澤井香織 今泉力哉   
音楽:ゲイリー芦屋
配給:イオンエンターテイメント

全国順次公開中
©2020映画「かそけきサンカヨウ」製作委員会
高校生の陽(志田彩良)は、幼い頃に母・佐千代(石田ひかり)が家を出て、父・直(井浦新)とふたり暮らしをしていたが、ふたり暮らしは終わりを告げ、父の再婚相手である美子(菊池亜希子)とその連れ子の4歳のひなたと4人家族の新たな暮らしが始まった。そんな新しい暮らしへの戸惑いを、陽と同じ美術部に所属する陸(鈴鹿央士)に打ち明ける。実の母・佐千代への想いを募らせていた陽は、絵描きである佐千代の個展に陸と一緒に行く約束をする。
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