目次
でも、この溢れる想いは言葉だけじゃ伝えられない!
映画に描かれた様々な「愛を伝えるシーン」から、言葉やキスやハグだけではない“大切な人への愛の表現” を紹介します!
『はじまりのうた』から学ぶ
“愛の伝え方”
お互いが大切にしている「音楽」を
一緒に聴き、そして恋する「グレタとダンのNYデート」より
好きなものに、一緒に恋する!
好きな人と本を貸し借りしたり、一緒に映画を観たり。大切にしているものを共有するという体験は、時に、過ごした時間や交わした言葉の積みかさねを飛びこえて、お互いの距離をぐっと近づけることがあります。
恋人に裏切られ、失意のどん底にいるシンガーソングライターのグレタ(キーラ・ナイトレイ)と、仕事も家族との関係もうまくいかない音楽プロデューサーのダン(マーク・ラファロ)の出会いを描いた『はじまりのうた』(2015)。この映画では、恋人の浮気を悟る瞬間、父と娘の気持ちが通う瞬間など、物語が動きだす大事な局面はすべて、会話ではなく登場人物たちの演奏や歌によって心のやりとりが描かれます。
一番のハイライトは、心を通わせていくグレタとダンが、2つに枝分かれしたイヤホンで自分たちの音楽プレイリストを一緒に聴きながら、ニューヨークの夜を彷徨い歩くシーン。地下鉄に乗ったり、路上を行き交う人々を眺めたり。二人の間に音楽がある、それだけのことで、平凡な景色はキラキラと煌めき、どんなに流暢な会話も敵わない特別な時間に変わります。
何より最高なのは、決して恋仲にはならない二人の関係性。男女としての一線をこえることなく、友人とも師弟とも恋人ともいえない、理屈では説明できない距離感の中に、好きな音楽でつながった二人の信頼関係や、相手を思いやる愛情が感じられて、それがまぶしいのです。
人と人との関係は、思い出や時間の積み重ねによって作られる。でも、そういう理屈を一瞬でこえてしまう関係もあるんじゃないかと、映画を観ながら思うのです。二人にとっての音楽のように、お互いの「好きなもの」へ一緒に恋することが、お互いの愛を感じ合い、確かめ合えるひとつの表現になるのではないでしょうか。