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でも、この溢れる想いは言葉だけじゃ伝えられない!
映画に描かれた様々な「愛を伝えるシーン」から、言葉やキスやハグだけではない“大切な人への愛の表現” を紹介します!
『パーフェクトワールド 君といる奇跡』
から学ぶ”愛の伝え方”
あなたの隣に並び、
あなたと同じ高さで目を合わせ、見つめ合う「つぐみが お見舞いに来てくれた樹に近寄るシーン」より
大切な人が、悩み、苦しんでいる時に、「どうすれば力になれるんだろう」と自分をもどかしく感じることはありませんか? その人の立場にたって理解しようとしても、その人の苦しみの全てを理解するのは、なかなか難しいことです。
そんな時「私はあなたの隣にいられるのが嬉しい」という、一緒に過ごせる喜びを伝えることこそが、大切だと教えてくれた映画があります。事故により、脊髄損傷で下半身が不随になった鮎川樹(岩田剛典)と彼を一途に愛する川奈つぐみ(杉咲花)が、二人でいるために、ひとつずつ障害を乗り越えていく姿を描いた『パーフェクトワールド 君といる奇跡』(2018)です。
インテリアコーディネーターのつぐみは、高校時代に憧れていた建築士の先輩・樹と設計会社の飲み会で偶然再会します。久しぶりに会った樹が車いすで過ごす姿に、最初は戸惑いますが、ひたむきに仕事へ向き合う彼に惹かれていきます。樹も、最初は「誰とも交際しない」と心を閉ざしていましたが、つぐみの真っ直ぐな思いに惹かれ、二人は付き合うことに。
しかし、周囲の反対にあったり、お互いの向き合い方の塩梅がつかめなかったり、なかなかうまくいかない中、つぐみは樹と一緒にいる際に足をケガしてしまいます。隣にいたのに助けられなかった自分を責める樹。追い打ちをかけるよう、つぐみをお見舞いに行った先では、彼女の父親から「頼む。娘と別れてくれ」と頭を下げられます。そんなこととはつゆ知らず、車椅子で移動していたつぐみは樹を見つけ近寄り、彼をじっと見つめ、嬉しそうに「目線が同じだね」と伝えるのです。彼女のこれまでの自分に対する思いが全部つまったその言葉に、たまらず樹は彼女を抱き寄せます。
恋愛も、他者と他者とのコミュニケーションの一つ。それぞれの生まれ育った環境や背格好も、好きなものも違います。どんなに一緒にいても、相手が何を考え、何に苦しみ、悩んでいるのか、その全てを理解することはできないし、できなくてもいいと思うのです。それよりも大事なことは、「私は、あなたの隣にいたい。そして、あなたをもっと知りたい」という気持ちを相手に伝えることなのだと、私はこのシーンを観て思いました。
自分とは違う、すべては理解できない。でも、だからこそもっと一緒にいて、もっと知りたいと思う。だからこそ、一人じゃないと思える。そして、同じ目線の高さで、同じ方向を見ることはできる。それが愛なのではないでしょうか。