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大阪に引っ越してから約10年。京都や神戸にも気軽に行ける地理的なメリットを享受しない手はない! ということで、近隣にも頻繁に繰り出しております。
今回やってきたのは神戸。梅雨の合間の青空の下、朝早くに三ノ宮の駅に降り立ちました。南側に海を臨み、北側に山を背負う神戸の街はどこも異国情緒が漂っています。駅を出たら、まずは東西に広く伸びるアーケード・神戸三宮センター街に向かいましょう。
まだ時間が早いので通勤する人々やお店に品物を搬入する人がパラパラといるくらいですが、ここは日中には多くの人が行き交う一大ショッピングエリアです。珍しい2階建て構造のアーケード型の商店街で、有名ブランドや高級ブランドが数多く軒を連ねている華やかな雰囲気があるのが特徴です。アーケードを通って強い日差しを避けつつ、パワースポットとして有名な生田神社へと続く生田ロードの入り口にある「一の鳥居」を目指しましょう。
一の鳥居がある小道を南に出てから右に曲がると、目の前にクラシカルかつ近代的な建物「神戸朝日ビルディング」が見えてきます。この一角にあるのが今回訪れるシネ・リーブル神戸です。
クラシックとモダンが共存する洗練された空間が魅力のシネ・リーブル神戸
2001年にオープンしたシネ・リーブル神戸の入り口は重厚な神戸朝日ビルディングの1階奥にあり、ゲートをくぐってムードたっぷりの大階段を下りた先の地下1階に3つのスクリーンを有しています。階段の下にある吹き抜けのロビーに出て振り返ると、シアターエリアの入り口が登場します。朝早い時間にもかかわらず、数人のお客さんがソファに座ったり、壁にかけてあるポスターを見たりしながら上映開始を待っていました。
シアターエリアのホワイエはとてもゆったりしていて上品な雰囲気です。売店の向かい側には上映中の作品の資料やグッズがセンス良く展示され、各シアターやトイレへ向かう長い廊下には今後の上映予定作品のポスターがかけられています。赤い絨毯を基調とした内装は洋館のような落ち着きを感じさせますが、レイアウトや照明にはどこか未来っぽさもあるという独特な空間になっていて、不思議と気持ちが落ち着きます。
今回シネ・リーブル神戸で鑑賞したのは『ブリーディング・ラブ はじまりの旅』。ユアン・マクレガーと実の娘のクララ・マクレガーが親子の役を演じているロードムービーで、とある事情から微妙に距離がある父娘の過去や現在の問題、そして愛情についての顛末が独特のタッチで描かれていました。徐々に明らかになっていくふたりの事情、行く先々で出会うユニークな人たちとの交流、そして本当の親子だからこそ醸し出せるケミストリーに酔いしれることができました。
砂埃を巻き上げながら真っ直ぐな道を走るオンボロ車、カーステレオから流れるヒットソング、気怠そうな店員がいる道の途中の雑貨店……スクリーンの中に広がるアメリカらしい風景になぜか懐かしさを感じるから不思議です。港町神戸というどこか「旅」を感じさせる土地で、遠く離れたアメリカに思考を飛ばしているひととき。それはどこか、ちょっとした海外旅行を味わっているようでもありました。
人気エリアの旧居留地〜南京町をめぐり、異国情緒を満喫
温かく晴れやかな気持ちに包まれた後は、昼下がりの神戸の街に繰り出しましょう! シネ・リーブル神戸があるのは旧居留地と呼ばれるエリアの北側です。1868年(慶応3年)の開港に伴って外国人の住居や通商の場として整備されたこの地区には、当時のヨーロッパ的な街並みが現在もその雰囲気を変えずに残っています。
レンガや石で作られた重厚で洗練された建物が、すっきりと伸びた道路の横に悠々と立ち並び、大丸デパートや高級ブランドの路面店が軒を連ねる高級感あふれる人気エリアである旧居留地は、歩いているだけでもラグジュアリーな気分になれる特別な場所。特にこの日は久しぶりの晴天に恵まれたので、真っ青な空、緑の並木道、美しい建物という完璧な風景を楽しむことができました。
そんな気持ちのときは、ランチもちょっと贅沢に楽しみたいもの。旧居留地を象徴する建物のひとつであるオリエンタルホテル神戸に向かいましょう。1870年(明治3年)に開業した歴史あるオリエンタルホテル神戸。今の建物は阪神大震災後に建設されたものですが、伝統を感じさせる落ち着いた雰囲気と抜群のセンスは今でも他の追随を許さないものがあります。
1階にあるエレベーターに乗り込んだら、ロビーとレストランがある最上階へ向かいます。レストラン「メインダイニング バイ・ザ・ハウス・オブ・パシフィック」の隣にあるバー「ザ・バー ジェイダブリューハート」のスペースで、平日限定のランチを堪能しました。
前菜・選べるメイン・パン・デザート・飲み物がついているお得なランチはどれも絶品! さらに、高い天井まである大きな窓から景色を望むことができる席だったので、美しい神戸の街(海側)を見下ろしながら優雅な気分で食事を楽しむことができました。ちなみに、レストランエリアとは反対側にあるロビーもガラス張りになっていて、山側の景色を眺めることができます。スタッフの方々にも「さすが一流ホテル」という気持ちの良い対応をしていただき、お腹も心も満たされました。
さて、せっかく神戸に来たので、腹ごなしに少し散策してみることにしましょう。ブランドショップが立ち並ぶ路地を抜けると、歴史を感じさせる重厚な大丸神戸に人々がどんどん入って行くのが見えてきます。そしてその向こうには神戸の中華街・南京町があります。日本三大中華街のうちのひとつである南京町には、約110軒の飲食店や雑貨店などがあるのだそう。この日も、若者を中心にたくさんの人々が楽しそうに歩いていました。
照り付ける日差しは、少し散策しただけで体力を奪っていきます。このままだと倒れてしまう! と、休憩をとるために神戸三宮センター街に戻ってお茶ができるお店を探すことにしました。神戸にはファミリアなど神戸発祥の名店が沢山ありますが、神戸発の洋菓子店として名をはせているのが「モロゾフ」です。三宮センター街にはモロゾフ神戸本店があり、なんと喫茶スペースがあるのです。平日でも待たないと入れない人気店であり、私が以前から前を通るたびに憧れていた喫茶店でもあるこのお店。この機会に入ってみることにしましょう。
神戸発祥! あの洋菓子の名店へ
入ってすぐにあるショーケースと商品販売スペースの向こう側に喫茶スペースがあります。緑と茶色を基調としたシックなインテリアが素敵で、思わずうっとりと眺めてしまいました。3組ほど待ち、15分ほどで席につくことができました。
注文したのは「アーモンドワッフルプレートとお飲み物」というセット。アーモンドワッフル、カスタードプリン(ミニ)、バニラアイスクリームなどが一緒に楽しめるお得なプレートになっています。サクッサクのワッフルやモロゾフ定番のプリンを同時に食べられるなんて夢のようではないですか? 一口食べるごとに、暑い日差しで消耗した身体が回復していくのを感じます。これぞ神戸! というティータイムを過ごすことができて、最高のテンションで1日を締めくくることができました。
恵まれた地形、歴史ある建物と整然と美しく整備された街並み、古くから西欧文化に色濃く影響された異国情緒あふれる雰囲気。落ち着いたお洒落を貫き続けている神戸は、他のどの都市とも違う誇りを感じさせる街です。そしてその誇りの中には、1995年に起きた阪神大震災で甚大な被害を受け、見事に復興を遂げたという過去があることも忘れてはいけないでしょう。物体は壊されてしまったとしても、伝統や街の精神は蘇らせることができる……神戸の街を歩いていると、年月の中に確かに息づいている人々の想いを感じることができる気がします。シネ・リーブル神戸がある神戸朝日ビルは震災の前年に竣工し、震災に耐えた建物です。神戸の街で映画を観て、神戸の街を歩きながら、開港時代から阪神大震災、そして現代と、この150年の歴史に想いを馳せてみませんか?
今回のさんぽコース
兵庫県神戸市中央区浪花町 59 神戸朝日ビルディング B1F
(JR三ノ宮駅・阪急・阪神・地下鉄・ポートライナー三宮駅徒歩約10分/JR元町駅または阪神元町駅徒歩約8分/地下鉄湾岸線旧居留地・大丸前駅または三宮・花時計前駅徒歩約5分)
(オリエンタルホテル神戸 内)
兵庫県神戸市中央区京町25
(新幹線新神戸駅より約10分/神戸市営地下鉄 西神・山手線新神戸駅より三宮駅にて下車、徒歩約7分/JR 神戸線三ノ宮駅より徒歩約7分/阪急 神戸線・阪神本線・ポートライナー三宮駅より徒歩約7分/JR 神戸線、阪神本線元町駅より徒歩約6分/神戸市営地下鉄 海岸線旧居留地・大丸前駅より徒歩約4分)
兵庫県神戸市中央区三宮町1-8-1
(JR三ノ宮駅より徒歩3分)
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