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おしえて! みんなの映画デート vol.1

イラストレーターHさんの場合「わたしの思いも沈没デート」

デートの定番といえば「映画デート」。
映画館やおうちでなど、映画鑑賞は今もデートの鉄板です。
「映画 デート」とネットで検索してみると、「気をつけるポイント」「思わぬ落とし穴!」「デート向き映画の注意点」という見出しが。どうやら映画デートには、ちょっとしたコツがいるようですね。映画デートは、暗がりの中、2時間近くを共に過ごすという特殊なシチュエーション。どんな映画を選ぶかもまた、恋の駆け引きや顛末に大きな影響を与えるものです。では、どんなところに注意すればいいのでしょうか…?
そこで、みなさんのいろんな意味で心に残る映画デートを教えていただき、そこから教訓を導きだそうというコーナーをはじめます! 題して「おしえて! みんなの映画デート」。
第1回の教訓はこちら!!
映画デート 教訓その1
「洋画でも邦画でも“濡れ場”はある」
では、その一例をご紹介しましょう。

vol.1 イラストレーターHさん(20代女性)の場合
(あるある度★★★ 後悔度★★★ いい思い出度★★★)

中学3年生の夏、同級生の野球少年に告白しました。彼はクラスでも目立つタイプの明るい男子。いつも廊下をスライディングしたり先生にカンチョーしたりと先頭を切ってふざけているのに、勉強の成績はいつもトップ。おバカな姿と頭のよさのギャップにやられて想いを伝え、めでたく付き合うことに。

そんな彼との初デートが、映画デートだったんです。

行き先は、当時うちの地元で定番の初デートスポットだった東京郊外のシネコン。休日に彼に会うのは初めてで、ふたりきりで出かけること自体がうれしくて、観る作品は当日映画館で決めようと約束しました。

デート当日、わたしはちょっとでも相手に「かわいい」と思ってほしくて、精一杯大人びたおしゃれをして出かけたんです。

ところが、待ち合わせ場所に現れた彼の姿に仰天!

意味不明な英字プリントTシャツ(色は赤!)に、くすんだベージュのハーフパンツ、明らかに子ども向けのマジックテープ止めのサンダルという出で立ち。たしかに、学生服と野球のユニフォーム姿の彼しか見たことがなかったな…」と頭の片隅で思いつつ、もうドン引き。

とはいえ、映画館に着く頃には「これから男の子とふたりで映画を観るんだ」という事実に、気づけば再びテンションはマックスに。

その日、上映中の映画は『ゾディアック』と『日本沈没』。わたしは瞬時に頭を働かせて「洋画だと、エロいシーンがあって気まずくなりそうだよな…邦画のほうが無難なはず!」と考え、『日本沈没』を観ることを彼に提案。

席について間もなく『日本沈没』の上映が開始し、日本列島沈没の危機が迫る中で巻き起こる、人々の愛や葛藤のドラマに、ドキドキハラハラしながら夢中で映画を観ていたのですが…。
終盤、事件は起きました。

日本列島沈没前夜、「日本の運命はどうなってしまうの…!?」と物語への不安が絶頂に達するわたしの前で、まさかの展開が……!
柴咲コウさん演じるレスキュー隊員・玲子が急に、草彅剛さん演じる潜水艇のパイロット・小野寺に「小野寺さんが好き。もうどうしたらいいかわからない」と、告白したのです!!

「こっ、これは…まさか…」といやな予感がした瞬間、濃厚なキスシーンがスタート。挙げ句の果てに、玲子は「抱いて」と小野寺の耳元でささやくではないですか!!!

ウブだったわたしには、最悪のシチュエーション。

小野寺は泣きながら、非常事態を目前に控えているから「今はできない」と玲子に伝え、玲子はショックを受けながらも彼の答えを受け止め、ドラマはクライマックスへ(ベッドシーンがなかったのだけが救いでした)。

「もう! できない、なら最初から『抱いて』なんてセリフ登場させないでよ!!!」(当時のわたしの心の声)

その間、隣の野球少年との間にはピーンと張り詰めた空気が流れ続け、変な汗が出まくり。ラブシーンに反応してるとは絶対に思われたくなかったので、必死に意識を抜きながら映画を観ました。

この日の事件で彼への気持ちがすっかり冷めてしまったわたしは、デートの翌週、学校の廊下で彼に別れを告げました。

そのときの彼の「え、なんで?」という表情が今でも忘れられません。

《教訓その1 まとめ》

「付き合う前・付き合いたての映画デートはオススメ!」と言われがちですが、意外な落とし穴がここ! いわゆる“濡れ場”です。

まだ手をつないだこともないふたりだからこそ、映画館での席の近さにドキドキしてそれがいいはずなのに、濡れ場はこの“近さ”を地獄に変化させます!!

当時のHさんのように、ティーンエイジャーであればなおのこと。感情を無にして映画を観るしかないですよねー…。

まだお付き合いしていない人とのデートのとき、一体濡れ場をどんな表情で観るのが正解なんでしょうか…? ぜひ、みなさんの体験も教えてください!

FILM GALLERY
PROFILE
イラストレーター・漫画家
日向山葵
Wasabi Hinata
1991年生まれ、東京都出身。多摩美術大学絵画学科版画専攻卒。2年半の会社員生活の後、2018年よりフリーランスとして制作活動をスタート。独特な曲線で描かれる人物イラストからタイポグラフィーまで、その作品はシンプルながらもポップで親しみやすい。近年ではシャムキャッツやTHE FULL TEENZ、1983など、バンドのグッズやジャケットも手がける。2020年にはGINZA WEBにて短期連載漫画『パーフェクトシンドローム』が公開された。
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