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映画を観た日のアレコレ No.72

お笑い芸人
阿曽山大噴火の映画日記
2022年8月20日

映画を観た日のアレコレ
なかなか思うように外に出かけられなかった時を経て、今どんな風に1日を過ごしていますか? 映画を観ていますか?
何を食べ、何を思い、どんな映画を観たのか。 誰かの“映画を観た一日”を覗いてみたら、どんな風景が見えるでしょう? 日常の中に溶け込む、映画のある風景を映し出す連載「映画を観た日のアレコレ」。
72回目は、お笑い芸人 阿曽山大噴火さんの映画日記です。
日記の持ち主
お笑い芸人
阿曽山大噴火
Asozandaifunka
月曜日から金曜日の9時~5時、東京地裁に通勤定期券で通う、裁判傍聴のプロ。裁判ウォッチャーとして、テレビ、ラジオのレギュラーや、雑誌、ウェブサイトでの連載を持つ。パチスロもすでにプロの域に達している。また、ファッションにも独自のポリシーを持ち、“男のスカート”にこだわっている。

2022年8月20日

メジャーリーグもプロ野球も全く見ないのに、夏になると見てしまう高校野球。今年もなんとなく高校野球を見ていたら夏が終わりかけていた、そんな8月20日の午後。夕方前には決勝に進出する2校も決定し、なんとなく応援するものも無くなったので棚から『WEEKEND BLUES』のDVDを取り出しました。土曜日に鑑賞する映画としてはこれ以上ない選択でしょう。

『WEEKEND BLUES』は2001年に作られた内田けんじ監督の初監督作品。何度も繰り返し観てるのに何故か定期的に観たくなるんですよね。始まって5秒で分かる安っぽい自主制作の空気感。誰一人知らない素人の出演者。棒読みで聞き取りにくい音声。そして、20年前の市販のビデオカメラの映像が画質の荒さとかを飛び越えて、味わい深く懐かしい。DVDプレーヤーの再生ボタンが20年前の東京の風景をまるごと再生してくれるのです。白黒画面のケータイ電話を取り出してアンテナ伸ばしたり、パスネットが使える自動改札があったり、この画質だからこそのリアリティですよ。

ストーリーは、怪しいクスリを飲んだ男が30時間後に見知らぬ住宅街で目を覚ましたので何があったのかを確かめていくというもの。最初は「?」ばかりだったのが、徐々に「!」となり、最終的には「!!!」に着地する脚本は見事過ぎて呆れるほど。この後に『運命じゃない人』『アフタースクール』『鍵泥棒のメソッド』でジグソーパズルが完成していくような緻密な脚本が絶賛された内田けんじ監督が初めて書いたシナリオなのです。

ずーっと脚本の巧みさを賞賛されてきた監督ですが、映像の演出家としても優れた人物なんですよ。もっと評価されてもいいのに! 仲間だけで作ったデビュー作だからやりたい放題撮っていたのか、漫画のような面白い構図のカットは多いし、絶妙な間で笑いを誘う編集も非常に上手い。決してシナリオだけが素晴らしい監督ではないんです。きっと楽しんで撮ってたんでしょう。そんな空気がそのまま収められてます。

なんか高校野球と『WEEKEND BLUES』って似たような魅力が詰まっているなぁ。

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月曜日から金曜日の9時~5時、東京地裁に通勤定期券で通う、裁判傍聴のプロ。裁判ウォッチャーとして、テレビ、ラジオのレギュラーや、雑誌、ウェブサイトでの連載を持つ。パチスロもすでにプロの域に達している。また、ファッションにも独自のポリシーを持ち、“男のスカート”にこだわっている。
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