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映画を観た日のアレコレ No.83

俳優
赤澤遼太郎の映画日記
2023年4月17日

映画を観た日のアレコレ
なかなか思うように外に出かけられなかった時を経て、今どんな風に1日を過ごしていますか? 映画を観ていますか?
何を食べ、何を思い、どんな映画を観たのか。 誰かの“映画を観た一日”を覗いてみたら、どんな風景が見えるでしょう? 日常の中に溶け込む、映画のある風景を映し出す連載「映画を観た日のアレコレ」。
83回目は、俳優 赤澤遼太郎さんの映画日記です。
日記の持ち主
俳優
赤澤遼太郎
Ryotaro Akazawa
1997年1月11日生まれ。神奈川県出身。2015年、舞台「CHaCK-UP―Episode.0―」で 俳優デビュー。その後、舞台「おそ松さん」、「あんさんぶるスターズ」、「MANKAI STAGE『A 3!』」、「xxxHOLiC」等で人気の役を射止める。近年はCMやバラエティ、TVドラマ「救出劇」(21/MX)の主演や「悪女(わる) ~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」(22/NTV)、ゲーム 「戦国 A LIVE」のキャラクターボイス、ラジオ「よるステ!」のパーソナリティ、ミュージカル 「チェーザレ 破壊の創造者」の出演など2.5次元界だけにとどまらない活躍をしている。2023年は7月に 主演舞台「マッシュル-MASHLE-」THE STAGE、9月に主演ミュージカル「コードギアス 反逆のルルーシュ」が控えている。

2023年4月17日

「おはよう」

携帯に朝の挨拶を入力して、1日が始まる。

起きた時と寝る前のファンクラブチャットの更新。

極力忘れないように頑張っているのだが、

勿論、忘れてしまう時もある…

なんならバッチリ起きたタイミングで出来る方が稀かもしれない…。

さて、今日は昼過ぎからの仕事のみ。

時刻は午前8時。

まだまだ家を出るのには時間があるので、白湯を飲みながら、今日の予定をぼんやり思い浮かべる。

あぁ。

何しよう。

“涙活”しよう。
そうしよう。

決定した。

白湯の一口目をフーフーしながら飲む段階で、決定していた。

なんならもう、白湯なんか飲んでない。
フーフーしかしていない。

それくらいに今日は涙活をしたい気分で
あった。

頭を空っぽにして、ただ涙を流す行為。

どうしようもなくそれをしたくなる時がある。

でも映画を丸々一本観る訳じゃない。

様々な映画の感動シーンだけを、かいつまんで観るというなんともお得な楽しみ方だ。

「そんな楽しみ方邪道だよ!」
「映画は一本観てこそだよ!!」

勿論そういう気持ちも分かる。
ただ今日は“数”を楽しみたい日。

頭の中の冨岡義勇(※)が言っている。

楽しみ方は、

「千差万別!!!!」

あ、「笑止千万」か。

というわけで一作目は決まった。

『私の頭の中の消しゴム』

さて、どのシーンから観よう。

とりあえず久しぶりだし、初めから観てみるか。

トランプのシーン、バッティングセンターのシーン、街中で一人スジンが泣くシーン、かつての恋人に愛していると告げてしまうシーン。

どのシーンも切なすぎて、

溢れる涙がとまらない。

待ってくれ。

結局殆ど観てしまった。

ぐちゃぐちゃのべしゃべしゃになりながら、二人に感情移入してしまった。

最後の“サランヘヨ”カッコ良過ぎるだろ。

朝から悲鳴あげながら泣いたわ。

やばい。

とりあえず中断して仕事に行こう。

あとで自販機でコーラは買おう。

お仕事中

そして無事仕事は終わり……。

あ、コーラ買い忘れた。

まぁいいや。

涙活再開!

次の作品は『湯を沸かすほどの熱い愛』

冒頭から宮沢りえさんと杉咲花さんのシーンで泣かないわけがない。

お二人の繊細な表情、爆発してくる感情表現に

開始10分で既にノックアウト寸前。

そこからはもう早かった。

緩み切った僕の涙腺は耐えられる筈がなく、

15分に一回のペースで涙していた。

手話のシーンとかもう。

泣かない筈がないやん。

なんそれ!
ずる!?

ZAZYさんもびっくり。

夜の病院のピラミッド。

あんなに泣ける組体操は見たことがないよ。

もうほんと、

どこまで泣けるんだ。この映画…。

あぁ。

終わり方も素晴らしいな。

あれ。

おいおい待ってくれよ。

全部観てるじゃないか!

全然普通じゃねえか!

なにが楽しみ方は「千差万別!!!」だよ!

黙れよ!!

という思いを、ギュッと押し殺して今日最後の作品にうつる。

そんな最後の作品は『さよならの朝に約束の花をかざろう』

圧倒的な作画に一瞬で心を奪われていく。

はい。僕はもうこの世界の一員です。

「不束者ですがよろしくお願いいたします」

そう口走りそうになるくらいに、耳触りの良い声優さんの演技が、自然と物語に誘う。

人間の何倍もの寿命をもつ主人公“マキア”が偶然拾った赤ん坊“エリアル”を育てていくこの物語。

ラストを知ってるからこそ、何気ないやり取りがとてもグッとくる。

きっとマキアは、この一瞬の思い出を絶対に忘れることはないんだろうな…とか考えるともう涙が出てくる。

というかもう出てた。

思春期に親にキツいことを言ってしまう。

思い当たる節があり過ぎる出来事を、

親目線で追っていく。

まるで心臓を鷲掴みにされている気分。

エリアル馬鹿野郎。

辛過ぎるぞ。ほんとうに。

そして迎えたラストシーン。

今まで堰き止められていたダムの如く、

大粒の涙が両目から溢れ出す。

演技、映像、音楽。

全てが僕にとどめを刺してくる。

とんでもないカタルシス。

目から全てが浄化されていく。

エンドロールを観ながら今日を振り返る。

あれ結局3作品。

全部観たじゃん笑

時刻は25時。

鏡を見たら仏のような僕がいた。

「おやすみ」更新すんの忘れた。

OS-1をガブ飲みしながら僕はそう呟いた。

※漫画『鬼滅の刃』の登場人物。

赤澤遼太郎の映画日記
BACK NUMBER
INFORMATION
『アキはハルとごはんを食べたい』
出演:赤澤遼太郎  高橋健介
赤羽流河 櫻井佑樹 竹内星菜 田中優香
青山ひかる 永山たかし
柴田理恵

原作:たじまこと「アキはハルとごはんを食べたい」(竹書房「bamB!」刊)
監督:川野浩司
脚本:川﨑龍太
配給:クロックワークス

6月2日(金)シネマート新宿ほか2週間限定公開
Twitter: @akiharumovie
©たじまこと/竹書房・「アキハル」製作委員会
高校の同級生の秋吉純太(アキ)と藤城春継(ハル)は別々の大学に進学するも、静かな住宅街にある一軒家でルームシェアをスタートさせる。料理担当のアキの得意料理は、手軽に作れるアレンジレシピ。トマト塩ラーメン、ホットサンド、餃子チーズタッカルビ、豆乳ラーメン鍋……アキの手料理を美味しそうに平らげるのは、片付け担当のハル。自然で心地良いゼロ距離の二人を、友人やハルの姉・立夏は温かく見守るのだった。
心もお腹も満たされる日々を過ごす二人。美大に通うハルは、アキを撮ったスナップ写真を教授に褒められたことから写真家の道に進むことを決める。一方、アキはやりたいことが見つからず、就職活動に悩んでいた。ある日、ハルは教授からカメラマンになるためにイギリス留学を勧められる。留学について思い悩むハルは、就職活動に大学の授業の課題に…と忙しそうにするアキには相談できずにいた。そんななか、ハロウィンパーティで米山と麦田がイギリスへの留学話を持ち出してしまう。突然の話に言葉を失くすアキ。ハルとは違って、進むべき道が分からない自分には相談すらしてくれなかったことにショックを受ける。穏やかで幸せだった同居生活は、気まずい空気が漂ったまま終わってしまうのか…
PROFILE
俳優
赤澤遼太郎
Ryotaro Akazawa
1997年1月11日生まれ。神奈川県出身。2015年、舞台「CHaCK-UP―Episode.0―」で 俳優デビュー。その後、舞台「おそ松さん」、「あんさんぶるスターズ」、「MANKAI STAGE『A 3!』」、「xxxHOLiC」等で人気の役を射止める。近年はCMやバラエティ、TVドラマ「救出劇」(21/MX)の主演や「悪女(わる) ~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」(22/NTV)、ゲーム 「戦国 A LIVE」のキャラクターボイス、ラジオ「よるステ!」のパーソナリティ、ミュージカル 「チェーザレ 破壊の創造者」の出演など2.5次元界だけにとどまらない活躍をしている。2023年は7月に 主演舞台「マッシュル-MASHLE-」THE STAGE、9月に主演ミュージカル「コードギアス 反逆のルルーシュ」が控えている。
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