こんにちは! 編集部の川口です。
前回、独自のお店づくりが話題の本屋さん「文喫」「Readin’ Writin’ BOOKSTORE」に取材をした私は、PINTSCOPE編集部に早速“お店づくりの極意”を持ち帰りました。
( vol.2 「文喫、Readin’ Writin’…カルチャー好きがイチオシする書店で学んだ、寄りたくなる/買いたくなるお店づくりのヒント」 )
川口 : 「2軒のお店に共通していたのは、扱う商品やそれを届けたい人への想いがあってこそ、ということです! そして、“その想いをお客さんに体感してもらうための仕掛け”が考え抜かれていると感じました」
編集部O : 「その仕掛け自体がお店の個性になっているんだねー。届けたい想いを感じて楽しんでもらうためには、どんな仕掛けを提供できるか、ってことか」
編集部S : 「PINTSCOPEの想いは“映画に出会って、日常をちょっと豊かにしてもらいたい”だから、映画をもっと身近に感じてもらうための仕掛け、ですよね…」
理想の場につくるためには、さらなるプロセスが必要と編集部は考えました。
では日常の中で、もっと映画に触れ、そのときどきの喜び・かなしみ・恐れなどの感情体験や、気づき、ワクワク感などを映画で届けるために、どんな仕掛けがあるんだろう。
しかし、話し合っても画期的なアイデアが出てくるわけでもなく、長時間にわたる会議に疲れがでてきたとき、こんな発言が。
編集部S : 「そういえば、お花を身近に感じてもらうために、負担のない金額で定期的に楽しめるサービスがあるんですよ」
編集部A : 「最近、“サブスクリプションサービス”ってよく聞くね。では、それがどんなサービスか聞きに行ってみよう!」
ということで、“サブスクリプションサービス”を取材し、ヒントを探しに行くことに。
今回お話を伺ったのは、手軽に始められるお花の定期便サービス「Bloomee LIFE」です。何が聞けるのでしょうか、そこに答えはあるのでしょうか!?
Bloomee LIFEは、日本初で最大級のお花のサブスクリプションサービス。いろんなお花屋さんが手がけたブーケが毎週自宅のポストに届くサービスです。手軽に始められるので、今ユーザーがどんどん増えているそう。
なぜ、このビジネスを始めたのか。まずは、単刀直入に Bloomee LIFEを展開する株式会社Crunch Style代表の武井亮太さんにその質問をぶつけてみました。
「Bloomee LIFEは、“毎日にちょっとした感動を与えたい”という思いからスタートしたんです。だから最初は、“ライフスタイルにITを組み合わせてそれまでにないサービスをつくろう”というアイデアから出発しました。日常生活の幸福度をちょっと上げるためにいいものはないかというところから始まったんですね。それを考えていたときに出会ったのが、プレゼントでもらったお花のブーケでした」
起業を目指し、新卒入社した会社を退職したときに、同僚から贈られた花束。その贈りものが武井さんは素直に嬉しかった。お花の良さは、贈るシーンを選ばないこと、そしてどんな年齢・性別の人でも喜んでもらえること。それまで、お花との接点はあまりなかった武井さんですが、そのときの体験からお花が持つ可能性をもっと探りたいと、いろいろ調べ始めたとき、ヨーロッパやアメリカでは、お花のギフトサービスが発達していることを知りました。そして、武井さんはギフト用のお花をいつでも注文できるECサイト「Bloomee」を始めます。
「今Bloomee LIFEは自分用のお花を注文するサービスになっていますが、起業当初は“感動を与える”という面で、プレゼントの方がお花という商品と親和性があると思ったんです。だからBloomeeでは、店頭で購入するときと同じようなサービスが受けられるように、『黄色いお花をたくさん入れて』とか、個々の要望をお花屋さんが直接相談に乗れるという、オーダーメイド・ブーケをつくれるチャットサービスを導入したりしました。でも思ったように認知が広がらなかった。なぜなんだろうと思ったときに、ユーザーのみなさんに聞いてみようと思ったんです」
さっそく、ユーザーへのヒアリング調査を行った武井さん。その結果、そもそもプレゼントを検討する際、その選択肢として、お花が挙がってこないということに気づきます。その理由はまず、お花は高いというイメージがあるから。そして何より、ユーザー自身が“お花を贈る”ということを身近に感じていなかったから。「プレゼントの選択肢としてお花を根付かせるためには、まずお客さまがリーズナブルに、また日常的にお花に触れられる環境を提供しなければいけないのではないか」武井さんは、そう気づきます。そして始めたサービスが、お花を毎週自宅に定期的に宅配するBloomee LIFEでした。
「手軽にポストで受け取れるお花の定期便。お客さまの声を丁寧に聞いて、見えてきた課題を形にしたら、とてもシンプルな方法になったんです。今でもお客さまの意見を聞くことは、大切にしています。月に1度は社員が直接、毎回違ったお客さまのご自宅にお伺いして、どんな形でお花を生活に取り入れているのか、見に行ったりもしているんですよ」
Bloomee LIFEは、定期的にお花を届けるという方法を取り入れると、多くの人に広がっていき、今ではユーザーが増え、100店舗以上の花屋さんとパートナーになるまでに。しかも、そのユーザーの8割以上が、これまで自分でお花を買ったことがない“お花初心者”でした。
「お客さまから、多くの熱心な感想が会社に届くのは本当にうれしいです。たとえば、届けた先のお子さまが『今回は、白の花だね』とか、毎週お花が届くのを楽しみにしているなどの声が寄せられるんです。お花があることで家族の会話が増えたとか、お花を飾ることで部屋をきれいに保つようになったとか、そういう声を聞くと僕たちは、お花を通して、生活を豊かにできてるんだという実感が湧きます」
“毎日にちょっとした感動を与えたい”という武井さんの想いが、お客さまとお花との接点をつくることから始まり、お花のサブスクというビジネスがつながっていったのですね。
お客さまの言葉に、「お花を飾ることで、『外食ではなく家でご飯を食べよう』という変化があった」という話は印象的でした。お花が定期的に届くことで、その人の生活スタイルや習慣まで、変えてしまうことができるとは! つまりBloomee LIFEは今や、お花を買うサービスではなく、お花がある“生活”自体を届けるサービスなのです。
「お花を届けて、その人の日常に変化を届けたい」。これって、お花を映画に置き換えると、実はPINTSCOPEの想いと重なるではないですか! なんか、大きなヒントをもらったような気がしてきました。
武井さんは、このサービスで多くの人にお花を身近に感じてもらい、まずこの市場を盛り上げたい。そして、お花のプレゼントを広めることなどにもつなげていきたいそうです。現在、Bloomee LIFEは日本全国のお花屋さんから、あらゆる地域のお客さまに、いろんな個性のブーケが届けられる仕組みをつくっています。
「現在は、様々なお花屋さんからランダムにブーケが届くのですが、今後はそれをお客さまごとにパーソナライズしていきたいとも思っています。もちろんランダムに、お花屋さんがそれぞれの個性を活かしたブーケが届くことで、思いがけない出会いの良さもあります。だから、最初はそれを体感してもらうことができるんですが、その中で自分の好みを見つけていけた方には、そこに応える次のサービスも用意したいという想いがあって。それぞれの生活や趣味嗜好に合ったブーケ、というのを届けたいんです。近いうちにそのパーソナライズサービスを開始する予定です」
“毎日にちょっとした感動を与えたい”を始点に、サブスクリプションサービスでお花との接点を提供したBloomee LIFE。サブスクリプションサービスは、ユーザーの日常生活に自然に寄り添うために、とても有効なんだなと感じました。そして、サービスが生活の一部になったことから、生活に変化が生まれ、また、新たなニ-ズも生まれていく…。
Bloomee LIFEを取材して、「映画をもっと身近に感じてもらうには、日常的に触れてもらうしかない!」と改めて感じました。そのためには、どういう仕掛けがユーザーにとっていいのか? お花を映画に置き換えたら?…たくさんの気づきと、新たな疑問が湧いてきました!
さて、次回の編集会議も長くなりそうです。
引き続き、読者のみなさまからの「映画を楽しむために、こういう場所があるとうれしい」というアイデアは随時募集中です! ぜひ、わたしたち編集部へメールをお送りください!!